日本共産党の御都合主義

本日付産経新聞で佐藤優氏が学生時代の恩師が亡くなったことを書いていた。東ドイツ出身の外国人教官が共産主義について語ったという以下のくだりを興味深く読んだ。「日本のマルクス主義はソ連のスターリニズムの影響を強く受けている。思考が演繹的なので、現実に存在する社会主義国の実態を捉えることができていない」。このくだりを読んで思い起こしたのは、日本共産党の99年におよぶ党史の中で、共産主義国家への評価が天と地を行き来するようにブレ続けた点である。当初はソ連や中国を「天国のような国」と捉え、当時の『アカハタ』でもまるで“魔法の国”のように描かれた時代があった。都合の悪い事実には目をつぶり、肯定できる面のみを膨らまして過度に宣伝する。つまり「共産主義はすばらしい」という結論(=空想)が先にあって、それに見合う材料のみを集め、それを信じるように仕向ける。客観的にみれば、質の悪い新興宗教に大衆を扇動した姿でしかない。その後、ソ連が崩壊し、中国は覇権主義を強めた。いま日本共産党はソ連の社会主義を完全否定し、中国についても同様の態度をとる。これほどの御都合主義があるかと思わんばかりの《変遷》の経過だ。理論的に成り立たないような理論をもてあそび、日本の政治に持ち込んだ同党。私は同党の政権監視活動を肯定的に評価する立場だが、同党の根幹にある理念は明らかに虚偽であり、間違っている。

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