「妙観講・法務部」の都合のいい主張

 日蓮正宗妙観講の機関紙である『慧妙』が名誉棄損裁判の基本もわきまえないお粗末な記事を掲載して恥をさらしたことは8月16日付の当コラムで指摘したとおりである。妙観講は今度は自身のホームページ上で別の記事を掲載し、そこでは私の指摘した誤りをこっそりと訂正している。つまりは、間違いを認めたということにほかならない。ところで、看過できないことは、そこでもお粗末な主張を彼らが繰り返していることだ。「法務部よりお知らせ」と題する文章では、以下のような記述が見てとれる。

 「今後、『盗聴報道訴訟』判決を利用して、妙観講および講頭を誹謗中傷することができなくなった」
 「妙観講および大草講頭に対する誹謗の数々は、完全に崩壊した」

 私が都合のいい主張にすぎないと述べるのは、上記の2点についてである。当方は大草を≪誹謗中傷≫しているわけでは決してない。
 まず前提として誤解のないように言っておくが、大草の違法盗聴事件の関与について、これまでの裁判は「大草の関与がない」と事実認定してきたわけではない。あくまで大草の直接的関与を認めるには「証拠が足りない」と言っているのであって、そこには大きな意味の開きがある。例えば先行訴訟である梅澤訴訟の一審判決では、「大草の本件電話盗聴の関与を認めるに足りる証拠はない」と言っているだけであり、波田地訴訟の判決でも、「大草の本件盗聴への関与を認めるに足りる証拠はない」と述べているにすぎない。
 逆に、盗聴報道訴訟の判決においては、「大草が他の盗聴についても関わっていることは疑うに十分」と認定しており、さらに「(盗聴への)関与が疑われる」「原告ら(妙観講および大草)がこれに全く関与していないと断定することは甚だ困難」とまで認定している。
 妙観講・法務部がこうした過去の認定を度外視し、都合のいい主張をホームページ上で“喧伝”していることがおわかりいただけよう。
 今回の私の裁判でも、「控訴人(柳原)は、これらの事実の裏付けとなるような新証拠を提出しない」と裁判所は述べているのであって、平たくいえば、新たな証拠が足りないと言っているだけである。
 ましてや調査会社帝国リサーチに数々の違法盗聴を発注し、違法行為を行わせたのが、大草と親しい間柄にあった妙観講員(元最高幹部)であったという事実は、すでに永久に動かすことのできない事柄である。その意味では、大草に代表者としての重大な「監督責任」があったことは明らかであり、妙観講に何の責任もなかったかのような上記の主張は、事実と異なるプロパガンダの類いでしかない。
 このような主張を目の当たりにすると、妙観講や大草が自分たちに都合のいい主張を行うために裁判を“利用”している実態がわかる。

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