「朝令暮改」の日本共産党綱領

本日付「しんぶん赤旗」は志位委員長と上智大学の中野晃一教授の新春対談を5面にわたり全面展開している。同党は今月14~18日に第28回党大会を開催し、2004年に全面改訂した綱領をさらに変更するという。

同党の綱領の歴史には、そのまま同党の本質が投影されていることは言うまでもない。たとえば1961年に採択された綱領(一般に宮本綱領と呼ばれる)では、当時、ソ連を盟主に世界の3分の1が社会主義国として喧伝された時代を反映し、「世界人口の半分以上をしめる平和地域」と謳っていた。

ところが91年に盟主・ソ連が崩壊。2002年には北朝鮮の日本人拉致が明らかになると、当時の指導者・不破哲三は2004年改定で驚くべきことを行った。それまで「社会主義国」と認め、「兄弟党」として宣伝してきた“仲間”であった社会主義国を「社会主義をめざす国」と勝手に規定し直したのだ。要するにそれまで語ってきた「社会主義国」という表現は誤りで、実際は社会主義国ではなかった、実際は社会主義国を「めざす国」にすぎなかったと変更したのだ。

さらに04年綱領では、その対象を中国、ベトナム、キューバの3カ国に限定し、北朝鮮を自ら除外した。要するに、北朝鮮は「社会主義をめざす国」ですらないと、不破は都合よく解釈変更した。

さて本年である。実権が不破から志位に移り始めたこの段階で、志位執行部は、この「社会主義をめざす国」の表現すら、削除することにした。理由は、中国の横暴である。

もともと中国は日本共産党より1年前に結党した「兄の党」の位置づけだった。日本共産党が社会主義国・中国を宣揚し、翼賛した記事は戦後まもない『アカハタ』には無数に見つけることができる。その中国を、冷戦崩壊後は、「社会主義をめざす国」に勝手に格下げし、今回は04年の際の北朝鮮と同じような位置づけに扱い、「めざす国」ですらないと解釈変更したのである。

このように日本共産党の“党理念の憲法”ともいうべき綱領は、自らの都合に合わせ、コロコロと変わる、確たる方針や普遍性などなきに等しいいい加減な代物である。根本理念がゴマカシに満ちているこのような政党が、有権者の信頼に値するかどうかはこの一事をもって明らかであろう。 詳しくは本日発売の「第三文明」(2月号)掲載の連載「日本で生き残るガラパゴス政党の真実」の拙稿「クルクルと変化する共産党の『猫の目』綱領」をご覧いただきたい。 本年も宜しくお願い申し上げます。

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