『プロパガンダ芸者』としての櫻井よしこ

各紙とも北朝鮮の核実験を大きく扱っている一方で、本日付の産経新聞1面に掲載されている櫻井よしこ氏のコラムは、いつにもまして極端な印象を与える。文章の最初の段落で、「世界で唯一、国家主権の核心を成す『交戦権』を憲法で否定している国、いざというときには戦争に訴えてでも自国を守る権利を放棄して、専守防衛だと言い続ける日本国の姿は特異である」と書き、平和憲法がケシカランと訴える。さらに「文明国は十分な話し合いの後の最終手段としての実力行使を準備する。日本にはその最終手段を準備する気概が欠けている」と、日本には武力行使の気概が欠けていると叱り、さらに「守ってもらう半人前の状況に70年間も浸った結果、考えなくなったのだ」と、日本人をこき下ろす。

同女の主張は常に「好戦論」とつながっているように思える。その結果、どういう事態を迎えるのかという点については、およそ深みというものが感じられず、浅はかなレベルにとどまるものだ。昭和の歴史の教訓などみじんも感じとれない。主張の最大の特徴は、ただただ「威勢のよさ」だけのようである。

コラムの最後では、安倍首相に対し、「先頭に立つことである」「首相への信頼も支持も必ず回復できる」と、我こそは首相を正しく指南する立場との気迫にあふれる。

こうしたコラムはそのまま歴史に残っていくが、およそ冷静な議論とは思われない。後世の歴史家は、2010年代に日本にナショナリズムが席巻し、昭和の戦争期さながらに≪好戦的プロパガンダ≫を続けた「ジャーナリスト」が、大手を振って歩いていたことを確認するだろう。

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