法務省という役所について

事務次官が一番の高位役職ではない特殊な省庁として、法務省や外務省があげられる。法務省では最高位は「検事総長」、次に東京や大阪の「高検検事長」、「法務事務次官」はその次くらいにくるポストだ。外務省の事務次官のあとに、米国駐在大使に転任するのと似て、法務省では「事務次官」よりも高位のポストが複数いることが特殊な一面かもしれない。この1月に、安倍内閣が黒川東京高検検事長の定年を戦後70年近い慣例を破り、法的根拠のないまま、閣議決定のみで特例的に定年延長を認めた問題で、公明党の北側代議士は、「これはもともと法務省側から提示された案だ」などと、責任を法務省側にかぶせる発言を行っている。はたしてそうだろうか。検事総長以外の検察官の定年は63歳までと法律で決められている。戦後70年近く、この国ではそのように運営されてきた。そうした法慣習を率先して守るべきはずの役所が、自ら、法違反の提案をしてきたとでもいうのだろうか。これは私の推測もまじるが、もしそれが事実という前提に立てば、すでに検察内部では、安倍政権側の黒川派と現検事総長側とにグループが2分化されて、その提案は、黒川派と報じられている法務事務次官サイドが行ったことではないのか。検事総長が自らそれ(法違反)を認めたとは考えにくい。現検事総長は、広島の河合前法務大臣夫婦の立件を進めている立場で、安倍政権が黒川派にすがろうとしたのは、立件を止めて(手心を加えて)くれるという思惑があったことは間違いない。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。