呼称の理解

私のようなフリーランスで物書きをしている人間にはさまざまな肩書が見られる。 ライター、フリーライター、ジャーナリスト、ノンフィクションライターなど。ほかにもすでに稀少となっているルポライターや、ノンフィクション作家と名乗る者もいる。以下は個人的な見解にすぎないが、ライターとジャーナリストでは、意味合いがかなり異なる。前者はライティングマシーンの響きがあるのに対し、後者はジャーナリズムの一角にあるとの意思表示であり、権力監視の役割などを意識した言葉と感じる。さらにジャーナリストとノンフィクションの書き手もまた異なる。この2つは、私の感覚では別の職種に等しい。もちろん両者にまたがる書き手もたまに見受けられるが、仕事の中身はかなり異なる。取材や調査をもとに執筆する点は同じだが、前者と異なり後者は「作品」をつくるという意味合いがかなり強く感じられる。私が疑問に感じるのはむしろ「ノンフィクション作家」だ。これはノンフィクションと小説が合体したような呼称にしか聞こえず、矛盾した言葉でしかない。ノンフィクションの分野でも「作家センセイ」と持ち上げられるのを好むタイプもいるようだ。結論からいえば、これらの肩書きは一義的には自己申告の世界であり、決定的な本質とまでは言えないものかもしれない。

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