共産党と社会党

もともとこの2つの党は似たような理想(共産主義・社会主義)や国家像を持ちながら、異なる点もあった。最大の違いは、共産党は「組織的なテロリズム」に手を染めた過去があるのに対し、社会党にはそれがないことである。また戦後の日本国憲法の制定過程において、共産党は現憲法の成立に執拗に反対したのに対し、社会党の前身である政党は賛成した点もまったく異なる。この2点は、両党の最大の差異であると、私個人はとらえている。社会党といってもすでに存在しない政党ではあるが、上記の2党は戦後長らく日本の革新政党として君臨してきた。70年代には自民党政権を凌駕する勢いをもっていたが、ついにできなかったのは、共産党の唯我独尊体質にあったと考える。多くの革新自治体が出現するレベルで終わってしまったからだ。この2つの政党は理想が似通っているせいか、近親憎悪が顕著で、両党の対立は露骨な縄張り争いに似ているところがあった。その象徴が原水爆禁止運動で両党の対立が原因で、日本の国民運動が分裂した過去だろう。逆にいえばこの両党が仲よく団結して前進していたら、70年代の段階で自民党政権はとっくにひっくり返っていたかもしれなかった。繰り返しになるが、日本共産党は自分のことしか考えていない唯我独尊体質が顕著で、他党と協力して政権をとることなど到底できなかったし、仮にまかり間違ってそうなっていたとしたら、日本国民にとってはなはだ悲惨な結果に終わっていたと思われる。現在、野党連合において日本共産党が「厄介者」扱いとなっている背景には、こうした歴史的経緯が伏線として強く存在する。共産党はいまも「誤った思想」に抱きついたまま、顔だけを表面的な厚化粧して周囲の人間の目を欺き、日本の政権内部に入ろうと虎視眈々と狙っているキツネやタヌキのようなものだ。テレビなどで党幹部が見せるソフトな表情と、共産主義者が本質的に腹の中に抱え持つ心情が、一切別次元のものであることはいくら強調してもしすぎることはない。

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