「勝てば官軍」の弊害

安倍元首相は第1次政権下で行った唯一の国政選挙、参院選においてこれほどにない見事な惨敗(先の7月参院選よりさらにひどい負けっぷり)を喫したが、いまの石破首相と同じように「辞めない」選択をし、その挙げ句、体調を崩した。選挙で負けるということがどのような作用を働かせるかを身をもって「学習」した元首相は、第2次政権ではひたすら「選挙第一主義」をとるようになった。やっている感を常に演出し、政権の評判低下に関わる政府内文書(公文書)を意図的に公開せず、公明党という集票マシーンと、統一教会という禁断の果実に手を染めることで、万全の態勢をとってきた。その帰結が“国政選挙6連勝”という結果ではあったが、この目先重視の自分ファースト政策は、この国の基盤を大きく傷つけ、結果的は日本の政治と社会を劣化させた。要するに、自分の時代さえ安泰であればそれでいいという近視眼的な自己本位な政治姿勢であり、国の将来を慮った政権でなかったことが明らかだ。一方で石破政権は上記のような選挙に対する厳しい認識は結果として持てていなかったようで、衆参選挙で与党が過半数を割る結果となった。選挙技術の優劣でいえば、石破首相による選挙戦術が劣ったことは結果として間違いなかろうが、その点は石破政権の甘さと指摘するしかない。いずれにせよ、マスコミの世論調査が上ろうと選挙結果はやはり最大限に尊重されるべきだ。私は石破首相は退陣せざるをえないと見ているが、一方で安倍元首相の「(選挙で)勝てば官軍」という姿勢も全く肯定できない。当然それらを前提としながら、日本の未来をどうつくるかが第一義でなければ、現有権者や未来の住民は浮かばれない。

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