昨日付の毎日新聞に興味深いコラムが掲載されていた。山田孝男・政治部特別編集委員による名物コラムだが、先の加藤紘一・元自民党幹事長の葬儀で、安倍首相と小泉元首相が帰り際、90秒間鉢合わせとなり、車を待つ間なされた会話が紹介されていた。政治部記者がICレコーダーで記録したものだろう。それによると、以下のようなやりとりだったという。
●小泉 原発、なんでゼロにしないんだよ。
◇安倍 (微笑、黙礼)
●小泉 原発ゼロのほうが安上がりなんだよ。こんな簡単なことが、どうしてわかんねえかな。ぜーんぶウソだぞ、経産省が言ってんの。原発推進論者が言ってんの、みーんなウソ。だまされんなよ。
◇安倍 (苦笑、再拝。低頭のまま公用車へ)
安倍首相は原発再稼働に着手したが、長年の懸案である放射性廃棄物の処理問題が解決されたわけでもない。たかだか現在の日本人の生活をまかなうために、何万年も先までゴミを管理しなければならないというおよそ馬鹿げた思考に陥る。時が小泉首相時代なら、間違いなく、「原発ゼロ」に踏み切っていたと感じるのは私だけではあるまい。現在の首相官邸を役人サイドで切り盛りしているのは、かつての大蔵省の役人ではなく、経産省(旧通産省)の役人(=原発推進論者)であることはよく知られている。