50代に入ってからのノンフィクション

本日は心に深く誓うための日である。学生時代、ノンフィクション研究会というサークルに所属した。マスコミ界に多くの人材を輩出する伝統ある大学の中で新興サークルにすぎず、現在はすでに存在しない。そこでノンフィクションの何たるかを学んだが、結局卒業して30年以上もすぎて一冊のノンフィクション作品を世に問うことになった。沖縄の明治生まれの空手家の評伝である。ノンフィクションという分野において、一人の人物の生涯を追う評伝は「王道」といわれる。人物の背景には当然ながらその人物を生かした「時代」というものが横たわる。一つの「時代」の中で、その人物がどのように生かされ、生きたか。時代と人物は絶対に切り離せない不即不離の関係にある。ノンフィクション作品では、アポイントをとって行う取材はむしろ少ない。むろんそうした取材も含まれるが、突然訪問して行う取材や、背景を調べたり、図書館にこもって過去の資料をひっくり返すような地道で孤独な作業も多い。だがそこには取材というもののすべての要諦が含まれているようにも思われる。根気と経費(これも不可欠)がなければ成り立たない仕事だ。次作は「事件物」を予定している。

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