子どもの戦争ごっこの感覚で成立した治安立法の中身

この国会で土地利用規制法が成立することは、後年の歴史からすると大きな出来事となる可能性がある。数年前の安保法制ほどの反対運動の盛り上がりはなかったが、法案の中身があまりにも不透明で、どのようにでも恣意的解釈ができ、治安当局にとっては打ち出の小づちのような意味を持つからだ。もともと重要な自衛隊施設の隣接地を外国資本によって買われるのは危険性があるとの発想から始まったものだ。だが実際に過去にどのような現実的な危険行為があったかといえば、実際は「皆無」だ。政府は法案の必要性を説明する際、電波妨害などをあげているが、実際にそのような行為があったという事実もない。要するに「存在しない」ものを「将来起こりかねない」としたものだが、私の知る限り、この問題は産経新聞社会部のデマキャンペーンから始まったものだ。「対馬があぶない」と題するキャンペーンは、対馬の多くの土地が韓国資本に買われ、将来乗っ取られかねないとの危機を煽るものだったが、私が現地を取材で訪れてみると、その「煽り」はほとんどが虚偽であり、誇張にすぎなかった。自衛隊施設の隣接地に確かに韓国資本の宿泊地があったが、単なるホテルの類であって、過度な思い込みにすぎないものだった。そうした延長のもと、今回の法案は自民党スジから出てきたもので、公明党は多少の修正を加えたものの、結果として法案の内容はかなりの危険性を伴うものになっているという印象だ。いまの時代に隣接地にアンテナを立てて電波妨害するなど、子どもの戦争ごっこの発想レベルにすぎない。

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