空手雑感 39 空手組織はなぜ分裂するか

極真空手をはじめとする日本の多くの空手組織は分裂することを通例としてきた。例外は極めて珍しい。なぜなのか。空手の関係の取材を多少続けてきた私の現時点における結論ははっきりしている。日本の場合、空手指導者は空手を教えるだけでなく、経営者を兼ねていることだ。たとえばフランスの場合はそれが完全に分離されていて、空手指導者は空手しか教えない。つまり道場経営の責任者ではないのだ。日本の場合、2つを兼用するのが通例なので、空手を教える能力はあっても、経営センスがないということが往々に起こりうる。経営は自分の組織にとってプラスになるかどうかが価値判断の基準となる。そこに個人的な感情は持ち込まれない。だが空手家が経営者を兼用していると、そこに人間的な感情が持ち込まれる機会が増える。その結果、集合離散を招いてしまうのだ。フランスで柔道や空手が盛んになったのは、この運営システムの違いにあると考えられる。

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