国民生活向上への「難題」を避けた安倍政権

 安倍首相が辞意を表明した。8月24日には決めていたという。

 安倍政権は国政選挙で6連勝したとはよく言われることだ。だがこの陰には公明党創価学会の献身的な働きがあったことはあまり指摘されない。問題はその強力な政治基盤が、未来の日本のために本当に必要なことに費やされたかどうかだった。「庶民をどう幸せにするか、ということを最後まで学べなかったように見えるのは残念だ」と述べたのはルポライターの鎌田慧氏だ(本日付東京新聞)。

 さらに社会保障改革や少子高齢化対策などの難題に道筋をつけるまでには至らなかった(本日付朝日新聞社説)。

 安倍政権は優先して「取り組むべきこと」に集中的に取り組まず、憲法改正や集団的自衛権など別のことにエネルギーを注いだ。優先順位を取り違えたといわれても仕方がない。

 長く続き、安定した政権だったという言い方はできても、未来社会のために残した確たるレガシーは、残念ながら見当たらない。「難題」を避け、政権維持ばかりに腐心したツケは、これから国民・住民に重くのしかかってくる。安倍首相が辞任表明したことで、喜ぶ声と残念がる声に完全に二分されて、その中間が少ないように思えるのが目下の風潮だが、単純に喜ぶのも間違いだと思う。

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