科学なき「似非宗教」を信奉する日本共産党

1921年創設の中国共産党と22年結党の日本共産党は血を分けた兄弟だ。DNAからしてこの血縁関係を断ち切ることはできない。戦後、中国共産党が共産革命を成功させて建国した際、日本共産党は自らの綱領に「中国革命の偉大な勝利」(61年綱領)と書き込んだ。宮本顕治が責任者となって作成したこの61年綱領では、中国はいうまでもなく「社会主義国」として規定されていた。66年、中国共産党と日本共産党の関係は断絶。以来98年までの32年間、両党は犬猿の関係となる。98年に関係復活させた責任者は、不破哲三前議長だった。2005年12月には両党間で理論交流会議さえも行っている。不破は前年の2004年の綱領改正で、中国を「社会主義をめざす国」に格下げした。中国のほかに、キューバとベトナムを「めざす国」として、独自に認定した。このときのミソは、61年綱領では社会主義国と認めていた北朝鮮を外したことである。さらにことし2020年の綱領改正では、その中国すらも、「社会主義をめざす国」から除外された。わかりやすく図示すると次のようになる。   

●宮本時代 ⇒ 社会主義国   

●不破時代 ⇒ 社会主義をめざす国   

●志位時代 ⇒ 社会主義をめざす国ですらない  

このように、血を分けた兄ともいえる存在を、自らの都合によって評価を変えつづけた日本共産党。問題は同じイズムを掲げながら、このように評価を変容させないといけない不確定なイズムは何なのかという根本的な問題だろう。ソ連大使館に長年勤務した元外交官の佐藤優氏は著書や講演の中で、ソ連共産党が日本共産党に対してもっとも驚いていた事実として、「我々ソ連共産党すら信じなくなっている共産主義を、彼らはどうも本気で信じているらしい」との証言で紹介している。要するに、日本共産党が信じている理想は、≪似非宗教≫にすぎないとの指摘に等しい。そうした≪似非宗教≫を、彼らは「科学的社会主義」と呼んで日本の大衆を騙し続けている。同党が「詐欺まがい政党」と評価されるのは、明確な理由があってのことだ。

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