人類史に刻む5月3日

創価学会にとって第3代池田大作会長が誕生して60周年の佳節を迎える意義深い日である。5月3日は教団にとって「元旦」ともいえる慶祝の日だが、その淵源は1951(昭和26)年5月3日、第2代戸田城聖会長の就任にさかのぼる。戦後、さまざまな宗教がうごめいた時代に、創価学会は「出遅れた宗教」にすぎなかった。先行したのは、立正佼成会や天理教など。なぜ学会は遅れたのか。戦前・戦中の権力による弾圧で初代会長は獄死、2代会長も大きく健康を害しながら出所したものの、組織は壊滅状態となっていた。その立ち上げに一定の時間がかかったのである。むしろ天理教などは戦中も軍部権力と迎合したため、致命的な弾圧を受けることもなく、スムーズな再出発が可能だったのだ。1951年に戸田会長がトップとして立ち上がったとき、すでに池田青年は入会していた。教団は師弟を基軸に戸田会長時代に組織的な基盤をつくり、60年前の1960年5月3日を迎える。そのころの合言葉は、「東の立正佼成会、西の天理教を撃て」だった。今と違って、闘争感が如実にあふれた時代である。それから19年近く、池田第3代会長の時代はつづいた。教団は日本国内に着実に浸透し、同時に世界各国に法華経(=仏教の最高経典)流布の大道をつくって現在に至る。ホモサピエンスの歴史にとって、この60年ないし70年の歳月は、後になればなるほど、重要な時期として振り返られるにちがいない。いま全世界のSGI(創価学会インタナショナル)の会員が、新型コロナウイルスで翻弄されて揺さぶられる社会の安穏、感染症蔓延の早期終息を祈っている。自分のためだけでなく、本然的に他者のために行動する人びとが民衆次元で世界中に大きく広がったことは、これまでの歴史の中ではあまり見られなかったことだ。すべての起点はこの「5月3日」に凝縮される。その意味で、人類全体にとっての貴重な日であると訴えたい。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。