地に堕ちた学者

日刊紙を合わせても100万部を割っているという「しんぶん赤旗・日曜版」が最新の3月1日号で憲法学者の小林節慶応大学名誉教授のインタビュー(一人語り形式)を掲載しているが、その内容があまりにひどい代物だ。まるでかつてのスターリンを翼賛するがごとく、日本共産党の公式見解をそのままになぞって一方的に持ち上げるだけの内容なのだ。当然ながらそこには《虚偽》も含まれる。例えば「過去の共産党の方針をみても、『暴力革命』はありません」などと小林節は語っているが、当方が正確に記し直せば、現在の同党が主張している取捨選択された資料の範囲内ではそうであろうが、実際は同党は暴力革命を容認する『51年綱領』を過去7年間にもわたり「正式な綱領」として取り扱っていた。それは彼らの言う「分派」だけの行為というわけでもなく、不破哲三前議長や志位和夫委員長の直接の師匠にあたる宮本顕治元議長も同様で、宮本自身、『51年綱領』を「輝ける綱領」などと繰り返し持ち上げた過去の史実からも明らかだ。その当時、暴力革命を掲げる綱領を党の正式綱領として掲げながら、後年、宮本はその綱領を撤回。過去の歴史をつごうよく≪抹消≫してしまった。共産主義政党につきものの、歴史の偽造である。つまり、小林節名誉教授は学者の身でありながら、学問として最も大事な「真実」というものを都合よくごまかす政党にとりこまれ、自らもその宣伝機関となり下がってしまった構図である。「学者が地に堕ちる」とは、こういうことを指すものと実感する。

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