「日本は自らの心の病を治すことが先決」と語った王毅外相

昨日付の朝日新聞(夕刊)や今朝の各紙が伝えたところによると、中国の王毅外相は8日の記者会見で、今年が日中国交正常化45周年であると同時に、日中戦争の契機となった盧溝橋事件から80年の節目であることを指摘した上で、「日本には歴史の逆行をたくらむ者もいる」「日本はまず自らの心の病を治す必要がある」と述べたという。近年の歴史の事実を認めない日本国内の風潮を指しているものと見られる。

例えば20数年前の日本では、大臣が「南京虐殺はなかった」などと例えオフレコの会見であっても一たび口にすれば、更迭されるだけの国家の見識を保っていた。なぜなら南京虐殺は、歴史学者の世界でも学問上決着のついている事柄であったからだ。ところが、「アウシュビッツはなかった」などのお粗末な記事で文藝春秋をクビになった元編集長が2004年に『WiLL』という名の月刊誌の編集長に就任し、「南京虐殺は捏造だ」「慰安婦は売春婦」「中国に屈するな」「韓国はツケ上がるな」といった主張を大っぴらに始めると、気分的にスカッとした日本人読者を増やした結果か、事実とは関係のない言論が日本国内において拡大されていった経緯がある。

繰り返すが、こうした『狂信右翼』ともいうべき立場の者にとっては、学問上の「事実」よりも「プロパガンダ」「スローガン」のほうが大事なのであり、その意味では共産主義の手法とさして変わるところがない。

いずれにせよ、中国の外相が述べた「日本に歴史の逆行を企む者がいる」との指摘は、教育勅語の復活をめざす教育機関や現職大臣の存在からも「事実」そのものであり、その意味で、王外相が日本の一部人間に対して「病気を治せ」と述べた内容は、正論としか思えない。こんなことを主張すると“売国奴”と指摘されかねない時代の様相ではあるが、歴史問題においては、基準は「事実」かどうかであり、それは学問の世界で決着をつけられるべき問題である。

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