サイコパスに暗い人間は少ない。人当りがよく、口達者である。ロバート・ヘア博士のサイコパス・チェックリストの最初の項目がこの「口達者」であることは象徴的だ。人並外れた話芸によって、サイコパスは相手の印象を自在に操作できる特技を持っている。つまり常に相手に好印象を残すことができる。その意味では、根暗なサイコパス、あるいは口下手なサイコパスというのは成立しにくい類型だ。
わかりやすくいえば、詐欺師の多くは、サイコパスに分類できる。そもそも詐欺師が口下手であっては仕事は成立しにくい。さも真実であるかのように、さも善意の人間であるかのような印象を相手に感じさせることができなければ、仕事は成立しないからだ。
その意味で、サイコパスは客商売に向いているカテゴリーの人間ともいえよう。人当りがよいので、多くの人間を巻き込む能力を持ち、実際、多くの人々がその特異な人格特性に影響される。ただし当人の行動特性の本質を見抜いている少数の者からすると、多くがウソで成り立っていることが認識されてしまう。実際はペテン師であり、口から出まかせの詐欺師同然の行動であり、「キチガイ」といった正当な客観評価も出てくることになる。