人道を旗じるしに

「21世紀は戦争の時代になった」と書いたのは本日付のある新聞コラムだ。いまや20世紀後半の冷戦終結雪解けムードは完全に消え去り、世界のあちこちで無法地帯がはびこる。日本は現在、2つの国際司法機関に代表者を出しているが、「人道外交」という理念がこれほど問われる時代もない。だが日本政府は平和外交の指標ともなる核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加することもなく、自党議員を派遣するといったん首相が言明した自民党議員も派遣されなかった。オブザーバー参加の問題はトランプ・石破会談とリンクしたのでやむを得なかったとの玄人判断もできるが、自民党議員の派遣すら拒否した態度は、日本の政権党としては「人道外交」におよそ水を差す行為でしかなかった。後半国会の大きな争点として浮上する選択的夫婦別姓問題も、石破首相のリーダーシップは期待できない旨の報道がなされている。日本国憲法を抱えたこの国の戦後の歩みを振り返るとき、世界に対して何を旗じるしとするかは明白だろう。世界にあっては「人道外交」を、国内でも人道立国を高らかに掲げる政権が出現するのはいつのことか。結婚して名字を変えることで深刻な不利益を被っている人たちが存在することを踏まえ、石破首相には歴史に残るであろう人道的政策に道筋をつけてほしい。

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