見返りを求めるカネ

 現状では商品券騒動がどこまで拡大し持続するかはわからないが、本日付在京紙でこの問題を1面トップで批判的に取り上げたのは「首相批判 地方から続出」と掲載した読売だけである。首相自身が真摯に反省と謝罪の気持ちを表明していることに加え、むしろ首相を引きずり降ろそうとする安倍派議員という構図がSNS上では広がっており、10万円の商品券よりも4ケタの裏金を公然と生み出してきた安倍派議員たちへの批判のほうが強くなっているように見えるからだ。気のせいか、テレビで見る石破首相の表情はサバサバしているように思える。現実には首相の進退は本日付紙面のどこかに出ていたが、今後の自民党参院幹部の意向が強く働くというのは事実だろう。とはいえ、政権発足から1年もたたないで一つの政権を終わらせることはすべての政策を宙ぶらりん化させ、他国首脳間との交渉もいったんは振出しに戻るという意味でも、国家行政としてみれば日本にとって大きな損失となることは間違いない。10万円の商品券を慣例に従って首相が配ろうとした問題(未遂事件)は、大企業が特定の思惑をもって政権与党の中心に大規模献金を繰り返す行為と表裏一体の関係にある。要するに、一定金額の拠出行為によって、何らかの見返り効果を期待するという点では異なるものではないからだ。経団連や大企業が自民党に大規模献金を繰り返すことによって、「法人税」が減税されつづけてきた政治意思との関係は無関係と思えない。政治を歪める制度や仕組みを健全化することが現在の政治に求められている。本質を踏み外さないわかりやすい議論が必要だ。

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