この間の石破政権の方針を見ていて、気になる点が3つある。一つは少数与党がどの野党を取り込むかという優先判断において、石破首相がこの通常国会では維新を第1優先とした方針だ。昨年の臨時国会における補正予算審議では、国民民主を第1優先とし、同党の賛成を得た上で、結果的には維新も追随した形だった。一方この通常国会では維新を第1優先とした結果、国民民主を離反させる結果につながった。維新案の高校無償化は、私立無償化が公立高校の地盤低下を招く「副作用」も含めて有権者に理解されにくい。第2は高額療養費の本人負担引き上げ問題について、首相の判断が二転三転した問題だ。大まかには厚労・財務両省役人の誤った報告を鵜呑みにした結果とされているが、ここでは有権者本位の、夏の参院選を見越した大局的判断を問われる場面だった。3番目は昨晩の商品券報道だ。首相にとっては商品券を配ることは「初めてではなかった」とのことであり、政治上の恩師である田中角栄流の気配りと思えなくもないが、マスコミの恰好の餌食として作用したことは事実だ。今後もトップの判断は常に問われつづける。いずれも政局の有力な総合プロデューサー的存在が政権内部さらには首相側近にも存在しない状況が浮かび上がる。一方で国の防災対策は待ったなしの状況で、現在さまざまな施策が進んでいる。国家の将来のため、石破首相は踏ん張るべき時だ。