選挙デマ席巻の暮

事実(ファクト)を確認するという冷静な行為がないがしろにされる事態だ。かつてインターネットが発達していなかった時代、その役割は主に週刊誌が担っていた。週刊誌メディアが「事実破り」の主犯とされた時代があったが、昨今は完全にSNSにとって代わられた感がある。もともと真偽不明の情報が入り乱れてきたネット世界にあって、情報が真実のものかどうか判断するのは玄人でも難しいときがある。まして一般の受け手はなおさらだろう。ネット上では「文字」だけでなく、「映像」や「動画」を手軽に編集し、印象的な部分を取り出して作成することも容易になっている。映像は文字より深層心理に訴える力が強く、影響は大きい。

真偽不明の情報がデフォルメされる形で特定候補を有利にする意図のもと、選挙が捻じ曲げられたことが明らかになっているのが11月17日に行われた兵庫県知事選だ。事実に基づく冷静な論戦からほど遠く、意図的なプロパガンダが横行した。目的はそれぞれ別にあったようだが、利害は見事なまでに一致した。重要なことはファクトチェックの行動となるが、追いつかない現状もある。一人ひとりの民度がいやまして問われる時代に入ったことを実感する。

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