本日付の日経政治面によると、安倍首相は来年の自民党総裁選前後に衆院選と憲法改正の国民投票を行うという当初の政治カレンダーを修正し、2019年夏の参院選と同時に行う方向で考えている旨の報道がなされている。その場合、改憲のための発議は19年1月に召集する通常国会になるといい、首相側近によると、それが自民党総裁として3選後の安倍首相にとっての「ラストチャンス」ということらしい。記事ではそのため、今年から来年にかけて経済政策で実績を積み重ね、改憲への世論を集約する構えを強調しているが、話はそう単純ではないように思える。なぜなら今回の総選挙における自民党の勝利は、衆院の選挙制度がもたらした幸運な結果にすぎず、けっして国民の支持が強い内閣とも思えないからだ。その意味で、安倍首相が9条改憲を進めようとした途端、この政権は崩壊に向かうだろうと本コラムが指摘するのはそのためだ。人間、諦めも大切というものだろうが、首相がこの問題に固執すればするほど、民意は離れていくように思えてならない。