安倍首相の解散時期の判断について、「おごりが生んだカオス」と評したのは毎日新聞だ。一方で記事執筆した論説委員長は「『希望の党』も多くの難点を抱えている」と指摘し、仮に小池新党が安倍政権を倒したら、目的を達成した「その瞬間から矛盾が噴出することは容易に想像できる」とも心配している。
政権選択選挙とされる衆院選の構図は、現行政権の信任か、小池新党を軸とする寄せ集め集団に政権を任せるかの選択となる。その場合、小池新党の想定する総理大臣はだれなのかということが大きな焦点となる。小池首相を誕生させるには、小池氏が都知事を辞めて、出馬することが前提となる。さらに参院では多数を占めておらず、衆参ねじれの状況で、多くの事態が進まなくなることが想定される。さらに小池新党は、実は過去に政権をまかせた民主党の面々が中核を占めることになる。党首だけが変わった姿ではあるものの、いつか見た光景に再び接するのにすぎないのではないかとの懸念が残る。
いずれにせよ、小池新党に政権を託したとしても、後に続くのは「大きな混乱」「進捗しない国政」さらに「遅れに遅れ続ける東京五輪準備」という三重苦の可能性が高い。
小池氏が都知事として残した実績はいったい何だったのか。冷静に考えてみれば、豊洲移転を遅らせたほかに、大きな実績は思い浮かばない。しいてあげれば情報公開の推進くらいだろうが、その小池氏が総理になったところで、何が変わるかといえば、ほとんど何も変わらないまま、空中分解するのではないかとの不安がもたげる。
その意味では、国民も都民もバカではないから、思ったほどに、小池新党は伸びない可能性もある。