空手雑感 8

沖縄の伝統空手と本土のフルコンタクト系空手の大きな違いの一つが、修行に対する年限の考え方だ。沖縄では「生涯空手」が当然の理念として定着しており、70代、80代になっても空手着に袖をとおし、稽古に汗を流す姿は珍しくない。一方で、フルコンタクト系空手の場合、50代以上になってもシニアの試合に出ているような人もいることはいるが、全体から見ればやはり少数だ。むしろ、その年齢で本気で打ち合いをやると、いくら防具をつけているとはいえ、膝を悪くするなどの故障が多くなることも避けられない。

沖縄伝統空手は「型」を主体とするので、壮年あるいは老年になっても、末永く続けられる強みがある。その分、壮年世代の空手家からすると、より魅力のある世界といえるかもしれない。

また型の内容も、沖縄に根づくオリジナルの型を実践する流派が多い。例えば、ピンアンの型ひとつとっても、フルコンタクト系では簡略化された体育化を目的としたものが使用されているが、沖縄ではオリジナルの状態のまま行っているところが多い。もともとこの型は、明治時代の拳聖といわれた糸洲安恒が、パッサイ、クーサンクー、チントウ(いずれも高段者用の型)をもとに一般向けに創作したとされるもので、起源もオリジナルの内容も、記録が現存されている型である。知れば知るほど、空手は奥が深いと感じる昨今である。

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