「抑止力バカ」が生み出す国家破滅

第2次安倍政権になって防衛予算が増加の一途をたどってきたことは新聞でも報道される。背景には中国の敵対的海上行動や台湾有事の際の対応、北朝鮮のミサイルなどが理由として一般に認識されている。米ソ冷戦時代の仮想敵国はソ連だったので北海道に集中した拠点は現在仮想敵国が中国に変わっているため、南西諸島にとって代わっている。台湾に最も近い島である与那国島にも自衛隊が駐屯した。中国を仮想敵国として再び戦争を起こす「構え」をひいているかのようだ。軍事オタクに多いのは相手が脅威に思うような「抑止力」を日本が備えれば平和を維持できると考える短絡的思考方法だ。そのような考えが歯止めのない軍拡競争に陥ることは戦後世界の現実が証明している。こうした軍事偏重の発想からは永遠に糸口となる「解」は生まれてこない。さらに抑止力という考え方が通じるかどうかは相手次第だ。

岸田政権が前菅政権と異なることは、この安倍政権時代の考えをそのまま「丸のみ」したことだ。その結果公明党は年末にかけてかなり困った状況に陥ることが予測されている。現状の自民・公明の選挙協力の不一致はその前触れにしか見えない。公明党からすれば2015年の安保関連法の成立で「終わった話だった」はずのこの種の論議が、「まだまだ」とする自民タカ派の動向に押され再び議題に乗せられたという被害意識のほうが強いと思われる。軍事予算を増強するばかりでは、日本は他国との関係以前に、財政的に自ら破綻しかねない。私にいわせれば安倍第2次政権のわかりやすい最大の実績は「軍事費の倍増」だ。国民にとっての負の実績と裏腹だ。

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