和文和訳の名人

ノンフィクションの王道は評伝とされる。ほかにも事件物や歴史物、さまざまな人間の営みが対象となる。それらは先人が調べたものなどの蓄積の上に、自分の手足を使って、改めて構築されるものといってよい。先人にはアカデミズムやジャーナリズムが含まれる。そうした過去の先人の業績に敬意を払い、その成果については「」書きで引用し、出典を明記するのが物書きのルールだ。だがこのルールを無視し、自分の文章の中に取り込んで、さも自分で考えだしたかのように振る舞うことを、俗に「盗用」とか、「パクリ」といって軽蔑の対象とする。近年発覚した中でも、自分の作品の中でしばしばこの手法を用いた人物が複数存在するが、最近問題となっているのは門田隆将こと門脇護の作品である。物書きとしての「引用の形式」を無視し、自分の文章としてこれまで発表してきた。そうした作品で現実に賞を受けたり、賞の候補作になってきた。人はこうした行動を「和文和訳」と呼ぶ。日本のノンフィクションのレベルはことほどかように低レベルに堕している。

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