◆門田隆将6 韓国制裁を煽り続けた「あおり屋」

言葉は勇ましいほうがよく響く。「あいつは舐めている」「やっつけろ」。そこにあるのは単なる感情次元のレベルだ。子どもの喧嘩ならそれでもよい。だが大人の関係、はては国家間において同じレベルで文章を書いている人間もいる。その最たる例が、このシリーズで取り上げられる門田隆将こと門脇護(61)である。 昨年10月、韓国が戦中の徴用工問題をめぐり、日本企業の賠償を求める判決を言い渡した。直後に「韓国と断交せよ」と勇ましい“進軍ラッパ”の文章をブログに掲げたのがこの人物だ。そこには例えば次のような文章が並べられていた。「韓国との外交関係をはじめ、すべてが途絶する準備を始めるだけでいい」「『日本が舐められている』からこそ、起こっている現象」「『断交』に向かって準備することが肝要」。さらに翌月には「日本がソウルに置いている日本大使館を閉鎖し、駐韓大使を召還するだけでいい」とさらにエスカレートした。彼のこうした「主張」のバックボーンにあるのは、日本は韓国に舐められているという私憤にあるらしい。その根拠の一つとしてあるのが、日本は韓国から「世界中で慰安婦の強制連行という虚偽の史実を広められ」ているという認識である。 主張は勇ましいだけで、その行動の起点になっているのは自身の感情。結局、この人物には韓国にいる4万人の邦人のことなどどこにも考慮などされていないようだ。ただただちっぽけな自身の感情、プライドだけが問題なのだ。一介の物書きならそれでもよいだろう。しかし、一国を背負う政治家がこんな低次元なレベルで動いてしまっては、国に災いをもたらすことも明白だ(すでにそうした事態が進行してしまっているように感じられる)。 逆に韓国と冷静に話し合おうとする日本人が出てくると、彼の筆では「媚韓派」などというレッテルを張って、見下すことも常態化している。結論からいうと、門田隆将こと門脇護は、単なる「あおり屋」にすぎない。「舐められているからギャフンといわせたい」――。ただそれだけでペンを振るっている人間と見られても仕方のないレベルである。その背景にある動機なるものも、実際はファクトともいえないデマである。なぜなら旧日本軍が占領地などにおいて、若い女性を拉致・監禁・強姦した事実は、史実としてきちんと残っているからだ。これでは反省していないと相手に思われるのも、無理はない。「あおり屋」が跋扈する社会は、やはり異常である。

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