鎌田慧さんについて

ルポライターの鎌田慧さんは私も学生時代から知っている書き手の一人だ。80歳になるいまも足を使って精力的に仕事を続けている。現場に徹し、弱い者の視点から取材・執筆をつづける第一人者だと思う。東京新聞の特報面に掲載される「本音のコラム」は興味深い執筆陣をそろえているのが特徴だが、東日本大震災8年を迎えての本日付の鎌田氏のコラムは、短い文章ながら説得力のあるものだった。内容としては原子力発電を続けるのは人間として愚かであるということを述べているのだが、現場に密着する者ならではの文章にほかならない。さらりと出てくる具体的な数字に説得力がこもっていて、やはり文章全体がひと味違う。時代に迎合する軽佻浮薄な右派系の書き手が急増しているのと対照的に、地道に、頑固に、若いころと何ら変わらない作業を続ける同氏の存在は、いい意味で化石的であるとさえ感じる。

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