健忘症の日本人

昨日付の新聞で講談社社員の刑事裁判で、妻を殺害した男性が殺人罪で懲役11年の判決を受けたニュースが出ていた。本人は妻の自殺を主張して無罪を求めていたというが、証拠は有罪を示していたらしい。この事件で被告人が在籍している講談社に罪はないと思われる。ただし社会的には新聞などでも「講談社社員」「元講談社次長」などと報じられるので、会社のイメージとしては大きな損失だろう。このコラムで何度も取り上げているが、67年前の1952年前後、日本共産党は東京と北海道で警察官を暗殺テロで殺害した。これらは上記と同じく殺人事件ながら、上記の講談社という会社に罪がないのと対照的に、日本共産党は大きな責任を負った事件である。なぜならこれらは党中央の方針に基づいてなされた殺害行為だったからだ。このときの中央幹部には宮本顕治など現在の不破・志位を引き立てた人物も存在していた。 当時、日本国民はこうしたテロ組織に手を染めた日本共産党に驚愕し、直後、国会での議席は35からゼロに転落した。だがそれから70年近くたつと、多くの国民が当時の姿を忘れ、共産党に支援の声を惜しまない。中には本日付の赤旗にまたも登場している元公明党副委員長の二見伸明のような人物さえ存在する。 日本人が「忘れやすい民族」とはよく指摘されてきた言葉だ。現実に、先の戦争で多くの中国人をレイプ・殺害した南京虐殺を都合よくネグレクトするような言説も蔓延している。しかし、上記の二見や同様の文化人の立場は、これらと何ら変わらない健忘症的な立場だ。歴史の事実を忘れ、自分の都合のいいように解釈し、時々の時流に合わせて行動する、真っ当な信念を欠落させた意味で。

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