牧口常三郎とその時代

本日は牧口常三郎初代会長の誕生から149年の日に当たるという。明治4年生まれの牧口は、昭和19年にその生涯を閉じるまで73年を生き抜いた。牧口が昭和18年の7月に逮捕された静岡県下田市の民家を取材で二度ほど訪ねたことがある。牧口のことを思うときに、私は『庶民列伝 牧口常三郎とその時代』(潮出版社)を上梓した伝説のルポライター、竹中労のことを思い出す。まだ20歳のころ、竹中と出会う機会となったのは、この連載が行われている時期で、その研究会だったからだ。牧口がどれほど同時代において卓越した人物であったかを私にわからせてくれたのは竹中の数々の言葉だった。牧口は同時代において決して「著名」とはいえなかったかもしれないが、その功績は実に大であることを強調してやまなかった。物書きの世界でもいえることだろうが、たとえ同時代において名前が売れようとも、作品はまったく残らない(世代を超えて読まれない)というケースがある。作品自体に時代を超える普遍性、あるいは国を超えても通用するような普遍性がない限り、当然ながら時間や空間を超えて広がることはない。牧口が志向した法華経こそは、普遍性の象徴といえるものだ。

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