ソ連・中国を「盲信」した政党のいま

政党の根本理念がこれほど無原則に「変化」する政党も珍しい。いま私の手元に『日本共産党綱領集』(1962年発行)という同党の出版物がある。そこに出ている1961年に策定された綱領と、改定予定の綱領とは180度異なる内容だ。まず61年綱領では、当時の国際共産主義運動に基づき、次のような記述がある。「世界史の発展方向として帝国主義の滅亡と社会主義の勝利は不可避である」。これはアメリカ中心の資本主義国はいずれ滅亡し、ソ連中心の社会主義国の勝利は確実と言っている予言・決意のようなものだが、結果はまったく正反対となった。日本共産党のうそぶく「科学的社会主義」なるものは、すでに崩壊していることが明らかだ。さらに「党は、『万国の労働者団結せよ』の精神にしたがって、プロレタリアートの国際的団結をつよめるために努力する。ソ連を先頭とする社会主義陣営、全世界の共産主義者、すべての人民大衆が人類の進歩のためにおこなっている闘争をあくまで支持する」とある。

だが今回の改定綱領を説明する中で、志位和夫がなんと述べているか。「最大の問題点は、『反帝国主義の陣営』のなかにソ連覇権主義という巨悪が含まれていた」。自分たちの掲げた運動方針の誤りを棚にあげ、いまでは都合の悪い事実(ソ連の社会主義が失敗した事実)をごまかすために、ソ連を攻撃し、自分たちだけは正しいという理屈に凝り固まっている。今回の綱領改定では、ソ連だけでなく、中国を攻撃対象としているが、わずか60年前、「社会主義の勝利は不可避」「ソ連を先頭とする社会主義陣営をあくまで支持する」と主張していたのは今の日本共産党である。繰り返すが、いまでは同党は正反対の主張を行っている。この無原則さ、反省のなさ、場当たり主義的態度が、日本共産党の「本質的な姿」だ。まともな思考能力をもつ人間であれば、もはやこんな政党にはついていかないだろう。根本理念において、これほど矛盾だらけでいい加減な政党も珍しい。

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