2010年代に8年近くつづいた安倍政治は多くの予備軍を形成し、社会を悪化させた。安倍政治が歴史修正ならぬ歴史否定を平然と行う政権であったために、ヘイトスピーチ集団が世の中で蔓延増長し、2016年にヘイトスピーチ解消法を制定するのは、自分たちの政権で撒いたタネを自分たちで回収するような行為にほかならなかった。8年間で形成されたわかりやすくいえばネトウヨと呼ばれる層は、その後、選挙のたびに行き先を変化させ、特に石破内閣になってからは自民党から完全に離れ、日本保守党や国民民主党、最近では参政党に向かっている。私からいわせれば“自業自得”なのだ。この局面を転換するには、短期的対処では意味がないというか、効果がない。対策は中長期的に行わなければならない。人権や環境、福祉などの普遍的価値観をもつ政党、さらに政策を、丁寧に発信し、その未来像を語ることしかない。目先の選挙勝利のような戦略で戦いつづける限り、中長期的な展望は開けないだろう。「ヒューマニズムの政治」が今こそ求められている時代はないのである。