10年前に東日本を救ったのは「フクシマ50」ではなかった

東日本大震災および福島第一原発事故から10年の年月がすぎ、当時、何が起こっていたのかというファクトについてさまざまな事実が明らかになっている。一つは格納容器の大爆発など「最悪の事態」が起きなかったのは、ひとえに偶然の産物にすぎなかったという意外な事実だ。むしろ原発内に残り、後に「フクシマ50」などと神格化されることになった人々の行動が実際は逆効果であった事実も指摘され始めている。実際彼らの行動を褒めたたえ、神格化し、さらに映画化までしてその行動を宣揚したのは門田某という一人のノンフィクション作家である。だが彼の描いたストーリーおよび彼らの位置づけは、実際は「フィクション」にすぎなかった実態も浮き彫りになりつつある。

門田は自分で明言しているとおり、全体的ファクトに基づいてノンフィクションを構成しているわけではなく、「日本人はすごい」「日本人は素晴らしい」という独自の個人的イデオロギーを啓蒙宣伝する目的で、ノンフィクションの名を借りてプロパガンダを行っているにすぎない存在だ。「日本人は素晴らしい」との言説は日本社会には容易に浸透し、本の売れ行きもよく、稼げるという目算も背景にあったのだろう。それにしても、自分の個人的な欲得のために、「事実」そのものを犠牲にするような行為はやめていただきたいものである。

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