最近はやりのガラパゴス運動

いまから6年前の2014年に産経新聞社が本格的に開始した「歴史戦」は、実はかつての日本軍部の「思想戦」を真似たものだった。昨年5月に発売された山崎雅弘著『歴史戦と思想戦』(集英社新書)は、それらの事実をわかりやすく解説した好著だ。現代社会の病巣を見事に抉っている。

産経新聞がめざす「歴史戦」の中身は、実際は過去の「大日本帝国」を賛美し、再来を夢想するもので、そうした前提で現状を読み解けば、多くの事象の本質が浮き彫りになる。

その一例として、産経は1976年の時点では、紙面において南京虐殺の事実を明確に認め、30万人から40万人が旧日本軍によって殺害された旨を記述していた。いまは南京虐殺そのものを否定する。

捏造と盗用を繰り返してきたお粗末作家・門田隆将の言葉を借りれば、歴史の事実は一つだ。だが、同じ新聞社が過去には30~40万人と記述し、いまでは「なかった」かのようにふるまっている。まるで歴史の事実が2つあるかのようである。

日本の新聞は横並び傾向が強く、独自の経営判断のもと、産経新聞がとった路線がこれであったと思われるが、要するに、金儲けや生き残りのために、歴史的事実を勝手に改変して読者に提供している姿にほかならない。

このような新聞が主導してきた「歴史戦」。その運動・活動には多くの言論人や文化人も参画している。櫻井よしこや門田隆将なども、その「運動員」(活動家)の一員にすぎない。

こうした日本の中のごく一部の人間にしか通用しない普遍性をもたない運動は、ガラパゴス運動と名付けてもよいだろう。

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