中国・韓国との関係について

近年、嫌中嫌韓の風潮が強まったのは安倍政権の出現と明らかに連動している。一方で、自民党と連立を組む公明党の母体は、法華経流布の恩人の国として、中国・韓半島をとらえる歴史的スケールをもってきた。そこに介在するのは「恩」という心情だ。さらに「隣国」という現実的な側面もある。地域社会に当てはめて考えればわかりやすい。隣の家同士がいつもいがみ合い、喧嘩している状態は、はたして健全か。自らの行動を省みる謙虚さをもたず、常に相手の非を責めるだけで、人間関係がうまくいくのか。国家の関係も原理的にはまったく同じであろう。そもそも「隣人」という関係を変えることはできない。地域社会なら引っ越せば片付く問題かもしれないが、国家はそうはいかない。すでに決められた物理的な制約ともいえる。つまり、どのような相手であろうとも、折り合う必要性が出てくる。これこそが人間の知恵が問われる事態だ。浅はかな人間は、感情にしばられて、「韓国と断交しろ!」とか、「中国に甘い対応をとるな!」とか、威勢のいい言葉ばかりを並べ立て、人びとを煽動する。御存じのとおり、このような言説が、いまの日本社会では横行している。人間の思考レベルとしては、とても浅はかなものだ。後のことなど何も考えていない。せいぜい自分たちの「金儲け」の道具に使っているだけである。似非言論人がはびこる現代。冷静で、賢い智慧こそ求められる。

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