不破哲三の「独裁」の実態

元共産党ナンバー4の立場にいた筆坂秀世元政策委員長と経済評論家・上念司氏の対談集『日本共産党と野党の大問題』(清談社、2019年)を読んだ。多くの論点が網羅されていて参考になったが、印象に残ったのは共産主義政党に特有な党内最高権力者の「独裁」の実態である。日本共産党の場合、宮本顕治の凋落のあとは不破哲三元議長がその立場にあるが、神奈川の豪邸に妻と2人暮らしはいいものの、山の中の広い敷地に資料室となる建物をもち、党本部から派遣された専従職員が常時「運転手」として付くほか、「専属の料理人」もいると指摘している。要するに同党内における「独裁者」としての実態を指摘しているわけだ。その不破氏の肝心の「科学の目」なるものはいい加減なもので、北朝鮮とタイミングの悪いときに関係改善しようとしたり、ベネズエラの政治体制を理想のものと持ち上げて大失敗したりと、その指導者としてのお粗末ぶりも詳述している。現在、東京選挙区から出馬している2世議員の吉良よし子についても、『資本論』はおろか、1日で読める分量の『共産党宣言』すら読んでいない実態を紹介し、パフォーマンスありきの議員が同党から出るようになったことを嘆いている。本のタイトルや装丁から受ける印象より、かなりしっかりした内容の本だ。

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