空手雑感 25

私がフルコンタクト空手を始めたのは45歳のときだったが、もともとは「護身」が目的だった。仮に襲われたとき、あるいはからまれたときの対処法を身に付けておこうというのがそもそもの動機である。そう思うような出来事が実際にあったことも事実だった。それから週2~3回道場に通う日々が始まったものの、フルコンタクト空手が実戦ではあまり活用できないと感じるようになったのは初心者・中級者の域を超えてからである。ある黒帯の先輩が酔っ払ってケンカとなり、ローキックを力いっぱい蹴ってみたが相手にほとんど効かなかったなどとぼやいているのをたまたま耳にして、そんなものかと感じたことがある。フルコンタクト空手は「競技化」が進んだ結果、本来の禁じ手(急所を狙う危険な技)などを教えなくなり、当然ながらその攻防も身に付かない。はてはキックの選手にも簡単に負けてしまう。ルールにしばられた稽古に慣れてしまい、顔面を殴ることに慣れていない。私はたまたま1年半ほど前から、別の空手と知り合い、いまはそちらの稽古に精を出している。その流派は5つの古流の型を繰り返し行う。型だけやって、特に組手稽古があるわけでもない。ただし古流には古流なりの深さがあり、目を開かされることはしばしばだ。50歳すぎてからの空手は、こちらのほうが健康的だ。

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