空手雑感 24

極真空手の大山倍達(1923-94)は劇画で一世を風靡したため、同空手は本土で熱狂的に広まった。寸止め空手は当てない空手なので実戦では使い物にならないダンスのような空手であり、一方で極真は、実戦に役立つケンカ空手という主張だった。その真偽はさておき、大山が一つの時代を風靡した空手家であったことは揺るぎない事実だろう。

時代はさかのぼるが、明治期の沖縄空手においても、ケンカ空手を標榜し、一世を風靡した空手家はいた。名前を本部朝基(もとぶ・ちょうき 1870-1945)といい、「掛け試し」と称するストリート・ファイトを通じて独自の実戦空手を身に付け、50歳をすぎてもプロボクサーを正拳(正確には一本拳)一発で倒して当時の雑誌に取り上げられた人物である。

2人は世代が50歳以上離れているので、以下は個人的妄想にすぎないが、この2人が仮に同時代の人物であってもしも立ち会っていたとしたら、どちらが強かっただろうかと考えるのは、空手オタクなら一度は考えたことのある事柄かもしれない。

私なりの見方で2人のスタイルの違いを述べれば、大山は型よりも自由組手を重視したのに対し、本部は沖縄空手の伝統どおりの修行をしたので、ナイハンチなどの基本型を大事にしていた。私は技においては本部のほうが上であったろうと考える一人だ。

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