歴史健忘型ニッポン人の「容共」度

日本共産党の創立記念の月というだけあって、「しんぶん赤旗」の自画自賛的紙面が際立っている。本日付では昨夜開催された創立96周年記念講演会の模様を報告しているが、識者の顔ぶれを見ていると、はたして歴史の教訓というものは各自の内面においてどのように昇華されているのか疑問が沸き起こる。昨日付の紙面には、「日本共産党創立96周年によせて 各界メッセージ」というタイトルで、8人の識者が顔写真つきで登場していた。

この際、自分の立場をはっきりさせておきたいが、安倍政治のアンチテーゼとして共産党を(一時的に)支援する立場を私は否定しない。だが、それを超えて、安倍政権を倒して、共産党中心の政権を!と叫んでいるかのような識者を目にすると、こいつはバカかとしか思えないのである。

その種の「実験」はこれまで世界各地で、あるいは日本の地方自治体の首長選挙において何度も繰り返され、そのほとんどが「失敗」あるいは「悲惨な結果」に終わってきたからだ。その意味で、歴史を学ばない人としか思えないからだ。

昨日付で掲載された8人の識者のうち、私の腑に落ちない人が一人だけいた。神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏である。

内田氏は東アジアにおける日本共産党の創設時期に関する伝統の古さを強調したあと、「マルクス主義を掲げる政党が国会や地方議会に安定的に議席を有している日本の例外性にもっと驚いてよい」と共産党を持ち上げ、その功績は「過去100年の日本のマルクス主義者たちの知性的・倫理的な努力がもたらした成果だと思う」とまで持ち上げている。

私は共産党がいまだに日本に根づいている理由の一つとして、単に歴史を重んじることのない国民性の欠陥が、いまだに共産思想をこの国にはびこらせている重大要因と感じているが、これではまるで、過去に北朝鮮を「地上の楽園」と賛美していた識者と本質的な意味では何も変わるところがないのではなかろうか。

北朝鮮も日本共産党も、その出自においては本質的に「同根」であり、別々のものではありえない。

私は、こうした姿を見るにつけ、日本人はほんとうに学習なき民族と感じる者なのだ。

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