小事件がファシズムのけん引役に

本日付の毎日新聞掲載の保阪正康氏のコラムを読んだ。年譜に書かれていないような事件が実はファシズムのけん引役になったと昭和史を総括し、その象徴として「昭和8年」を挙げている。世の中のさまざまなものに歪みが生じ始める。この年、小林多喜二が拷問死するなどしている(日本共産党を持ち上げる意図はない)。これらがファシズムの「呼び役」になっていったと指摘する。ひるがえって本年――、森友・加計問題における官僚機構の腐敗、加えて象徴的な小事件は、自衛隊の3等陸佐が野党国会議員に対して「国民の敵」と罵ったことだろう。軍人が勘違いを始めた象徴的な事件として、これは冒頭のような「ファシズムのけん引役」として後世に位置づけられる可能性がある。保阪氏は次のように書く。

「デモクラシーの背中に張り付いていて、デモクラシーが息切れしてくると、さりげなく前に出て、それからゆっくりと歩きだす。ときどき激したように興奮状態になり、その感情を爆発させる。そして走りだしたりするのだ」

さまざまなものが壊れていることを同時代で実感している人がどのくらいいるか知らないが、ファシズムの説明としてはわかりやすい。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。