『創価学会を語る』を読む

 第三文明社から昨年11月に発刊された『創価学会を語る』がそれなりに売れているようだ。プロテスタント神学者で作家の佐藤優氏と元日蓮正宗僧侶で日蓮研究家の松岡幹夫氏の対談をまとめた書籍である。初版発行日は昨年の11月28日になっていて、この日は1990年のその日に創価学会が日蓮正宗から破門された日であることを意識していることは明らかであろう。松岡氏は当時の宗門トップであった阿部日顕に対し、「悪いのはお前だ!」と啖呵を切ったことでも知られている。
 本書では元外交官である佐藤氏が、キリスト教が世界宗教に発展していった過程を踏まえながら、創価学会が今後世界宗教になっていくことを予見し、創価学会が「これから日本発の初めての世界宗教になっていく」こと、また将来、世界の3大宗教はキリスト教、イスラム教、創価学会になっていくことなどが紹介される。その部分はすでにさまざまな人が引用しているので重ねてふれないが、本書の特徴の一つは、佐藤氏が日蓮正宗の時代遅れの特質をよく理解している点であろう。またそうした時代遅れの宗教権力から離れた過程も、キリスト教の歴史とよく似ているのだという。
 また同氏は、創価学会を池田教などという言葉で揶揄するような知識人に対しては、「もう相手にする必要すらないでしょう」とも語っている。色眼鏡をかけた評論家やジャーナリストには、物事を正視眼で観ることができないことを前提にしたものだ。
 さらに将来、世界中に広がるSGI(創価学会インタナショナル)のメンバーが国家を超えた絆で結ばれていることにより、大きな「戦争への抑止力」になっていくことを予想している。
 私がむしろ感銘を受けたのは、佐藤氏が創価学会の任用試験(教団における最初の初歩的な教学試験)について、高く評価している点である。会内において、この試験が毎年実施されるようになってからすでに2年ほどすぎたが、それにより着実な人材育成の流れが強まったことは昨今あまり指摘されない教団に関する最新の特徴の一つである。そうした点をきちんと踏まえていることに驚いたのだ。

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