唯我独尊の3人によるプロパガンダ本

 元職員3人の本を読んでみた。本書の特徴は、「自分は絶対に間違っていない」「自分たちは『正義』である」と信じてやまないその自己陶酔性である。その結果、相手がすべて「悪」となる二分法で描かれている。だが逆の見方をすれば、本書の記述はすべて逆になるということもいえる。本書では正義である彼らの対話要求を教団の総本部の幹部らが拒絶する場面も出てくるが、逆に彼らがあくまで“問題とされる職員”であり、そうした問題職員に対し、教団がどのように対応したかという観点で読むことも十分に可能だ。結論的にいって、本書のウリは、書名にあるとおり、関係者を「実名」にしたことくらいでしかない。その方針は出版社側の判断と思われる。
 当方が読んだ限り、本書には大きく2つのウソがある。一つは足軽会の中心者が、「福岡大祐」(当コラムで「X」としてきた人物)ではないと主張した部分だ。本書では福岡のことをことさら「一会員」と強調し、誹謗された「被害者」として繰り返している。一方で、福岡が彼ら元職員3人の“精神的支柱”になっている実態は、むしろ本書内で逆に見事に浮き彫りにされていて、深刻な自己矛盾をきたす結果になっているのは皮肉だ。また中心者は福岡でないと主張しながらも、だれが中心者であるかを彼らは一切明らかにしていない。
 もう一つのウソは、聖教新聞減部問題をきっかけに処分された彼らの仲間たちについて、処分された理由をまったく記していないことだろう。そのためこのまま読むと、教団は何の罪もない人間を都合よく処分したようにしか読めない。彼らがヤクザまがいの言動で関係者を恫喝した事実や、子どもにまで畏怖を与えた事実、会館に居座って警察沙汰になった事実なども当然ながら一切出てこない。
 出版社である金曜日は、安保法制に彼らが反対する行動をとっているという理由からか、よくこんな本を出したものとむしろ驚いたくらいだ。真実性が争われることになることが明白な記述部分も随所に見られ、この代償は高くつくことになるだろうと推測する。

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