民主主義の最大の欠陥は、多数派が常に正しいとは限らないことだ。日清・日露戦争や太平洋戦争に進む時代の日本で世論に流された大衆こそが戦争を遂行した張本人とはよく言われる。日本共産党も過去に多数派が日本国内で共産主義革命を起こそうとして人殺しに手を染めた時期がある。いえることはどの団体、どの国においてもそうした民主主義の欠陥ともいえる現象は常に起きるという事実であり、現在のアメリカ合衆国で本来なら重罰を受けて刑務所の中に落ちていたはずの人間が狡猾に言い逃れとプロパガンダを重ね、「王様」きどりで大統領職を続けているのはその最たる事例だ。アメリカ国民が選んだ結果だから、これはアメリカ国民が自分で責任を負わなければならない問題と考えるのは簡単だが、アメリカの問題は多くの周辺諸国や同盟国に影響を与える。いまこの時期にあって日本国が抱える石破首相は、そういう意味では負の影響が最小限となるよい選択だったと感じる。日本国内においては時代は安倍政治の8年およびその影響に受けた政権の時代から、大きく「反転」のうねりが起きている段階と見る。冒頭の事実に戻れば、日本が掲げるべきは普遍的な原理に基づく「人道の旗」であり、人を殺すことは絶対悪という思想を、世界中に訴え続けることだと確信する。その意味での核兵器廃絶運動であり、根幹に根差すのは「生命尊厳」という究極の考え方に尽きる。