昔からたびたび指摘されているように、企業団体献金は利益誘導的側面を伴う献金なので、政治の政策に影響を与える。以前はゼネコンからの献金が税金の還流として問題になった時代もあったし、利益誘導的側面を伴うという性質上、政権与党に献金が集まることが普通になる。現にこの献金の9割以上が自民党に集まっている。逆にいえば、仮に政権交代が起きて、立憲民主党が中心となった政権となれば、同党にこの献金がシフトすることを意味する。要するに政権与党にとっての「武器」であり、「特権」ともいえる。これらの潤沢な資金で、選挙の際も自民党は有利な戦いを進めようとすることになる。だが同じ政権与党でも、これらの献金が自民党に集まり、公明党にそれほど向かわないのは、公明党が金で動く政党ではない点、さらには同党議員も多額の企業団体献金を受け取ることを控える傾向があるのだろうと推測する。いずれにせよ、与党の政策実行に影響を与える献金については、30年前の政治改革の趣旨からも、この献金にフタをし、個人献金中心の在り方に変えることが必要と考える。公明党は金にきれいな政治を標ぼうしてきた政党であり、この問題は本来は「1丁目1番地」となる政策と思われるが、30年たっても識者に検討してもらうべきといった後ろ向きとも思える姿勢で自民党を後ろからアシストしているように映る客観状況は決して好ましいと思えない。