戦後80年に向かう1年

広島原爆投下から79年目となる朝だ。これからさまざまな事象が戦後80年の節目を迎える。1944年8月22日、沖縄の子どもらを九州に疎開させる学童疎開船・対馬丸が撃沈される悲劇があった。さらに10月10日は那覇市が焼け野原となった那覇大空襲。翌年3月10日には東京大空襲から、いずれも80年の節となる。私は1907年生まれの沖縄の空手家の評伝を書いたことがあり、それはそのまま沖縄の20世紀をたどる旅に等しかった。空手家の弟子の一人に対馬丸事件の生き残りの少年がいたことなども書き記す機会があった。一方で、歴史修正主義にまみれたこの国では、旧日本軍の罪責を無きものにしようとする感情論に基づく言説がはびこって久しい。事実を虚心坦懐に探究するのではなく、ただひたすらに「日本無罪論」に結び付けようとする意図的な運動だ。事実に基づかないそれらの行動からは「歴史の教訓」は何も生み出せない。ぼく悪くないもーん、という幼稚な精神性の風潮が、この国には蔓延しており、日本の真の意味での国際化を遅らせる大きな要因となっている。

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