中道勢力の役割

日本共産党の衰退ぶりがはなはだしい。先の統一地方選挙で党の手足となる現場の議員数を100以上減らしたほか、4月の機関紙購読数も3万部減と、減少傾向が著しいからだ。同党の地方議員数の最高の峰は2000年ごろ。1996年に日本社会党が社会民主党と党名変更し、民主党に合流する形で分裂したため、事実上、社会党消滅に伴う共産党の「一時的な発展」が見られた時期である。そのころ4500近い議席を確保して地方議員第一党となっていた同党はいまやその数は2400台だ。半分近くに減っている。

また党の基幹活動である「しんぶん赤旗」の購読数もすでに100万部を割り、さらに3万部がわずか1カ月で減ったというのだから、その減少の速さは明らかだろう。松竹&鈴木除名問題が、大きく作用していることは間違いない。

そもそもことし1月に松竹&鈴木の両党員が同時出版した書籍がきっかけとなって起こった除名⇒党衰退の流れだが、2人がなぜこの時点を出版時期に選んだのかは定かでない。たまたまというべきなのか、なにか特定の意図があったのか。時期的には安保3文書の策定をへて、巨額の防衛費確保を伴う予算案などの審議の真っただ中にこの問題は重なったため、同党の政権批判の力が大きく損なわれる形となった。特をしたのは政権側であり、防衛省である。

私の立場は、日本を共産主義化するという日本共産党の方針は100%否定するが、同党が果たしている政権監視機能は一定程度評価するという立場だ。いわば限定的な評価ともいえる。その後段の部分が、今回はほとんど有効に発揮されることなく、「台湾有事論」に基づく戦後最大の防衛予算拡張を含む予算案などがたいした反対もなく通ってしまった。中道勢力のかじ取りの確かさが、なお一層問われる時代に入ったと感じる。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。