正式に廃止されていない「敵の出方論」

小さな記事だが本日付の読売新聞に、「共産暴力革命方針変更なし 答弁書閣議決定」の報道があった。NHK党参院議員の質問主意書に答えたものという。もともと同党は1922年に創設されたあと、58年に「51年綱領」を廃止するまで、明確に暴力革命の方針を堅持していた。ところが61年に「61年綱領」を策定。綱領内の文言から暴力に関する文字を削除し、代わりに綱領策定責任者であった宮本顕治書記長が党大会において「敵の出方論」に言及。暴力的革命となるか平和的革命となるかは敵の出方によるとの主張を行い、両面路線で進むよう方針転換した経緯がある。そのため、暴力革命路線を止めていないものとして、同党をめぐる治安体制は維持されてきた。だが、議会で多数派となって共産革命を成就するとの宮本路線はすでに破たんした状態で、同党が国民の多数派となる可能性は限りなくゼロに近い。しかも年月がたつにつれ、同党の革命精神は紙の上のものでしかなくなり、現在の同党が武装しているかといえば、していないだろうというのが常識的見解だろう。それでも同党がいまも「革命政党」を標ぼうしている以上、あわよくば与党内部に潜り込み、国家機関の一部を掌握し、革命を成就しようと動き出す可能性があることは明白なままだ。日本の治安機関はそうした事態を想定した上で、「暴力革命方針変更なし」としているものと認識している。

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