半藤史観の「40年周期」説

昨年1月に亡くなった歴史家の半藤一利氏は生前、「40年周期説」を唱えていた。日本が事実上「開国」に傾いた1865年を起点とし、日露戦争に勝つまでの1905年、敗戦で310万人の自国民を失う1945年へとつづく。半藤氏の考えでは占領下の7年は除外され、日本独立後の1952年を起点に、バブル崩壊の1992年までを唱えていた。その計算によると次の40年は2032年となる。この年は1945年という日本破滅の年の「再来」という巡り合わせとなる。この周期説が厳密に当てはまるかどうかはわからないが、世代が入れ替わることによって過去とのつながりが途切れ、社会が暴走することを戒めた考えともいえる。事実、現在の日本社会では戦中世代はほぼいなくなりつつある。そのせいもあってか最近顕著なことは、戦前の日本を無意識に求め回帰しようとする傾向である。ちなみに半藤説による戦後7年の占領期間を除外するという考えをとらなければ、1945年の次は1985年となる。バブル崩壊につながったとの説があるプラザ合意がなされた年だ。さらに次の40年後は2025年となり、今から3年後のこととなる。実はこのころ、中国が台湾に武力攻撃する可能性が最も高まるなどと喧伝する専門家もいるので、あながち的外れではないかもしれない。台湾有事は日本有事と叫ぶ靖国派の人士も目立つが、日本が介入すれば即座に核攻撃するとの中国側の脅し文句もあり、そうなればまさに1945年の再来となる。

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