謙虚さとは何か

NHK朝ドラで学徒出陣の話が出てきたときに、文章の恩師(99歳)の話を思い起こした。戦争時代の体験を恩師から折にふれて聞く機会があったが、東京大学在学中に徴兵され、多くの戦友が国外に送られて命を落としたが、自分は国内で働いた。わずか20歳を超えたくらいの若者が、何百人かの生命を預かる立場になったという話だった。そんな境遇が戦後に生まれた君たちにわかるか、理解できるかというニュアンスが言外にこもっていたように記憶する。昭和の戦争は、日本の国として忘れてはならない最大の教訓となる歴史である。だがこの歴史がこの国では公教育できちんと教えられているとはいえない。人間で例えれば背骨がきちんとしていないのに「真人間になれ」と言われているようなもので、所詮は無理な話だ。歴史をありのままに理解し伝えるのではなく、都合の悪い事実を努めて矮小化し、否定し、自己肯定に走る日本人が増えた。実証主義ではなく、自己弁護主義。こんな国は、再び「間違い」を起こす可能性が高い。

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